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[033] 平滑筋の収縮 smooth muscle contraction (GB#115G01)

[033] 平滑筋の収縮 smooth muscle contraction (GB#115G01)

smooth muscle contraction
●長さが何倍も変化する平滑筋

内臓血管の壁を作っている筋は一まとめに平滑筋(smooth muscle)と呼ばれている。 「平滑」というのは,筋細胞に縞がないタイプという意味だそうだ。 平滑筋の収縮をコントロールする仕組みは,どの器管の筋か,によっていくつか違いがあるらしいけれど,縞のある「横紋筋」と大きく違う性質として共通しているのは,伸縮の幅が何倍もあるところだろう。 この性質は縞が無いことと密接に関連している。 ところが意外なことに,実際どういう仕組みなのかはいまだに定説がないらしい。

●平滑筋の細胞も筋フィラメントでいっぱい

どうして縞がないか,というと横紋筋のような規則正しいフィラメントの繰り返し構造がないからだ。 といって,筋フィラメントがないわけではなくて,平滑筋細胞の中にも横紋筋と非常に良く似たタイプのミオシン(myosin)とアクチン(actin)が大量にある。 それぞれ太いフィラメントsmooth muscle contraction myosinと細いフィラメントsmooth muscle contraction actinを構成している。 だけど,これがいろんな配置で混在しているので,顕微鏡ではこれといった構造が見えないのだ。 よくよく見ると,細胞のあちこちにdense body(濃密体)smooth muscle contraction densebodyと呼ばれる小さなかたまりが散在している。 これは何本ものアクチンフィラメントの束の根元をまとめているタンパクで,横紋筋でいうとZ帯のようなものだと説明されている。 

●平滑筋のフィラメントはスライドするか?

平滑筋のミオシンは,活性化する仕組みは横紋筋とは少々違っていて,その独特な生化学的な背景はかなりよく調べられているようだ。 その一方でアクチンフィラメントとミオシンフィラメントがお互いにどのように動くのかは,横紋筋でスライディングしてるって言うから,平滑筋もそうなんじゃ?程度で,あまりこれといった解説は見当たらない。 なにしろ平滑筋細胞のフィラメントの配置はぜんぜん揃っていないので,細胞の伸び縮みの動きとフィラメント同士の動きを対応して検証することができていないのだ。 で,ミオシン頭部がアクチンフィラメントを引っ張るというところはそのまま一緒だと見られている。

●平滑筋のフィラメントは自由だ

平滑筋は筋フィラメントの動きを直接観察するということはできないので,間接的な観察から想像するしかない。 いろんなヒトがいろんなことを言っている状況だ。 しかし,だいたい共通しているのは,太いフィラメントは逆向きのアクチンフィラメントの間に入って,両方を相互に引っ張るという図式だ。 そのため平滑筋の太いフィラメントは面によってアクチンフィラメントを送る(引っ張る?)向きが逆になっていると考えられているようだ。 また,横紋筋は太いフィラメントがZ帯にぶつかるとそれを越えて縮むことはできないけれど,平滑筋ではミオシンはdense body を越えても全然かまわないらしい。 さらに平滑筋で特徴的な仕組みは,状況によってフィラメントの長さは常に変化しているし,フィラメントの配置も一定ではなくて,伸び縮みに応じてその都度,組みなおしが起こっているとも考えられている。 

●平滑筋は縮むときにフィラメントが延びる?

生化学の研究では,平滑筋の収縮は,細胞内のカルシウムイオンが増加することが引き金になることは横紋筋と一緒だけど,カルシウムイオンが結合するのは,細いフィラメントのトロポニン(troponin)ではなくて,細胞内に豊富に分布するカルモジュリン(Calmodulin,CaM)というタンパクというところが違っている。 カルモジュリンがカルシウムイオンと結合すると平滑筋のミオシン頭部を活性化して,ATPのエネルギーを使ってミオシンとアクチンの相互作用が始まるという。 このとき,太いフィラメントはアクチンフィラメントを引き込むことになるけれど,場合によってはアクチンフィラメントに沿って太いフィラメントを延長するとも考えられている。 逆に不活性な状態では不必要なミオシンは解離して(バラバラになって)太いフィラメントは短くなったりもすることになる。 アクチンフィラメントも,周りには単離したアクチン分子が大量に散らばっていて,状況に応じて細いフィラメントの長さも長くなったり,短くなったりというすごいことになっているらしい。 だいたい,筋細胞以外ではアクチンの分子は常につながったりバラけたり,安定していないらしい。 一定の長さを保ち続けている骨格筋の方が,特別の工夫をしている珍しい例のようだ

●平滑筋にもいろいろある

ひとくちに平滑筋といっても,横紋がない,ということでくくっているだけなので,実はそれが入っている器官によって,細胞の性質もけっこう違いがあるみたいだ。 このごろ平滑筋収縮の仕組みについてよく調べられているのは,気道(airway)の軟骨についている筋だ。 研究する上では,線維の走向が比較的揃っていて,標準の長さが決めやすいという利点がある。 だけど消化管などの内臓血管の平滑筋はまたこれとは若干,性質が違っているらしい。 また毛の根元の立毛筋(りつもうきん,erector pili)や眼球の中にある毛様体筋(もうようたいきん,ciliary muscle)虹彩の筋(iris muscles)も平滑筋だ。 これらもまた収縮の性質に違いがあるようだ。

 まぁ,はっきりしたことはわからないから,平滑筋の伸縮自在さを説明するために,いろんなことが考えられているわけだ。 というわけで,今回のアニメーションは主にタダで読める気管平滑筋の文献を参考に,いろいろな説を取り込んで「基礎医学教育研究会」がテキトーにまとめた想像図なので,実はぜんぜん違うのかもしれないけれど,そのときはどうかお許しください(笑)。

○参考サイト

日本平滑筋学会ホームページ
Smooth muscle tissue (Wikipedia)
平滑筋の収縮(北里大学 獣医生理HP ヨネザワ支部)
Direct evidence for functional smooth muscle myosin II in the 10S self-inhibited monomeric conformation in airway smooth muscle cells, PNAS 108, (2011).
Myosin filament polymerization and depolymerization in a model of partial length adaptation in airway smooth muscle, J Appl Physiol 111,(2011).
Mechanism of partial adaptation in airway smooth muscle after a step change in length, J Appl Physiol 103, (2007).
Extensive length-force relationship of porcine airway smooth muscle, J Appl Physiol 102, (2007).
Myosin filament assembly in an ever-changing myofilament lattice of smooth muscle, Am J Physiol Cell Physiol 289, (2005).
Length adaptation of airway smooth muscle: a stochastic model of cytoskeletal dynamics, J Appl Physiol 99, (2005).
‘Sarcomeres’ of smooth muscle: functional characteristics and ultrastructural evidence, J Cell Sci 118, (2005).
二枚貝の平滑筋のキャッチ収縮を世界ではじめて試験管内で再現,その分子機構を解明(独立行政法人通信総合研究所)平成13年5月22日(リンク先からpdf取得)
筋原線維は何で出来ている?,カラダUniversity ⬅ 新しく始まったみたいですが,素晴らしいイラストと解説です(若干,誤字,表記の不統一あり;翻訳物かな?)(2018/05/04)。

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[022] 胃と十二指腸 the stomach and the duodenum
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[043] 糸球体のろ過 glomerular filtration
[053] アセチルコリン受容体 acetylcholine receptors (GB#114B03) AChreceptors80k3.gif

○参考文献

プロッパー細胞生物学: 細胞の基本原理を学ぶ,化学同人
Essential細胞生物学〈DVD付〉原書第3版,南江堂
細胞の分子生物学, ニュートンプレス; 第5版 (2010/01)
肉単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (筋肉編))
カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版,坂井 建雄,日本医事新報社
人体機能生理学,杉 晴夫,南江堂
トートラ人体解剖生理学 原書8版,丸善
イラスト解剖学,松村 讓兒,中外医学社
柔道整復学校協会編「生理学」,南江堂
東洋療法学校協会編「生理学」,医歯薬出版株式会社

rev.20140429,rev.20150713. rev.20160904,rev.20170505, rev.20180511.


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