[001] 心臓のポンプ機能 heartbeat pumping (GB#103A01) | 基礎医学教育研究会(KIKKEN)Lab
●「とうようせいしゅうしゅく」?
心臓のポンプとしての働きのポイントは,心房と心室と動脈の圧力と,弁の動きだ。 心室の血圧が出口の動脈の血圧より高くなるまで血液は心室から出て行けない。
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●心周期
生理学の教科書では
「充満期」⇒「等容性収縮期」⇒「駆出期」⇒「等容性弛緩期」⇒「充満期」⇒・・・・
という流れを教えている。充満期から次の充満期の前までを「心周期」という一区切りとする。
(細かく分けると,充満期と等容性収縮期の間に「心房収縮期」が入る。 充満期とそれに続く心房収縮期は,弁の開閉と血液の動きは同じままで一連の流れなので,ここでは区別していない。)
「とうようせいしゅうしゅくき」とか「とうようせいしかんき」とか聞きなれない用語で,現象も一瞬ですぎるものなので,学生にはとらえにくいようだ。
●4つの弁のすべてが閉じている時期,それが等容性○○期
「心周期」の始まりの時点では房室弁が開いて,血液が心房から心室に流れ込んでくる。
このときが(心室の)「充満期(じゅうまんき)」。
血液が心室に十分に溜まるころ,心室筋は収縮を始める。
いままでゆるかった圧力が急に高くなって,心房に血液を逆流させそうになることで
房室弁が一気に押し戻されて閉じる。このとき音がする。
「第Ⅰ心音(だいいちしんおん)」だ。閉じるときに弁尖がぶつかって生じる振動だそうだ。
ドックン,ドックンの「ドッ」にあたる。
このとき,血液はまだ心臓から動脈へは流れていない。動脈弁は閉じている。
動脈の内圧のほうが,心室内圧よりも高いからだ。
房室弁も動脈弁も閉じているので,心室の血液の出入りはない。
血液量の変化はないけれど,心室内圧は筋収縮により急激に高くなってくる。
この短い時間帯が「東洋製」ではなくて,「等容性収縮期(とうようせいしゅうしゅくき)」。
心室内圧が動脈圧を越えた瞬間に血液が動脈に吐き出され,
「駆出期(くしゅつき)」となる。
心室内圧が動脈圧に負けた瞬間に,動脈弁が閉じて拍出は終わる。
そして,このときも音がする。 「第Ⅱ心音」だ。
ドックン,ドックンの「クン」にあたる。
第Ⅱ心音が聞こえたとき,心室はまだ血液を搾り出したばかりで
心室には圧力が残っているから,心房から心室への通り道である「房室弁」は開いていない。
動脈弁も房室弁も閉じたままで,どこにも血液の出入り口がないので,
心室内の血液の量は変わらないけれど,心室筋は緩んできて圧力は低くなってくるので,
「等容性弛緩期(とうようせいしかんき)」と呼ばれる。
一瞬の等容性弛緩期のあと,房室弁が開いて,新たな充満期に入り,同じことの繰り返しとなる。
アニメーションをボーっと見続けていたら,そのうちわかるようになるかも...
※アニメーションでは 右心房⇒右心室⇒肺動脈の肺循環系は省略している。
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◯参考にしたサイト
・等容性収縮期 isovolumetric contraction (phase)
・等容性弛緩期 isovolumetric relaxation (phase)
心臓が血液を送り出している間,心臓自身には血液が回らない。心臓の中の血管はつぶれてしまっている。心臓に血液が回るのは自分が緩んでいる間で,大動脈に残った血圧が心臓に血液を送り込む。
ちなみに,正常成人の安静時の一回の心迫で送り出される血液の量はおよそ 70 ~ 80 ミリリットルくらいだということだ。 一分あたりの量は安静時では 5 リットルだけど,心迫の活性時には最大毎分 25 リットルくらいまで達するという。
⇒「心周期」についてもっと知りたい
⇒「心音」についてもっと知りたい
⇒「心臓の弁」についてもっと知りたい
⇒解剖生理学 8話「心臓のしくみ」(たませんせいの授業)
○関連する記事
◆[051] 心臓のポンプ機能2 heartbeat pumping 2
◆[008] 弁の働き valve in the thin‐walled vessel
◆[023] 赤血球とヘモグロビン erythrocyte and hemoglobin
◆[046] 消化と代謝 digestion and metabolism
○参考文献
・ぐるぐる回す循環器 文光堂 (2013/11)
・カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版,坂井 建雄,日本医事新報社
・人体機能生理学,杉 晴夫,南江堂
・トートラ人体解剖生理学 原書8版,丸善
・イラスト解剖学,松村 讓兒,中外医学社
・柔道整復学校協会編「生理学」,南江堂
・東洋療法学校協会編「生理学」,医歯薬出版株式会社
rev.20150813,rev.20160709,rev.20160829,rev.20170205.
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◯このサイトは健康や医療情報を提供するものではありません。ヒトの生理学的・解剖学的側面の基礎的知識について科学的な視点での普及を目指したものです。
ポイントを伝えるために大胆に要約しています。なお、内容には基礎医学教育研究会独自の解釈や表現が含まれています。あらかじめご了承ください。
できるだけ間違いのないように気を付けていますが、まったくないとは言えません(^_^;)(結構あります)。また,現行の教科書レベルの内容の理解を主眼としていますので,最新の知見からすると合わないところもあると思います。不明な点はご指摘いただけると助かります。 ※過去の記事でも、必要に応じて頻繁に修正しています。このオンラインの内容が最新版です。
アニメーションはこのまま画面から、PowerPointスライドにコピペできます。
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Workshop on Basic Human Biology Education for the paramedical school beginners' course, Japan
2012-2020 KIKKENLAB
コメント
TAKA君 コメントありがとう。これは動画ではどうなるのとかいう小ネタがあったら教えてください。
とても勉強になります!!
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