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[028] 静止膜電位 resting membrane potential (GB#113B01)

[028] 静止膜電位 resting membrane potential (GB#113B01)

resting membrane potential


●細胞膜を通れるイオンが膜電位を決める

細胞は,細胞膜をはさんで内側がマイナス(負,negative),外側がプラス(正,positive)の電圧がかかった状態にある。 約束として外側を基準に,そこから内側の電圧を測ることになっている。 この電圧を「膜電位(membrane potential)」と言う。 膜電位の値は細胞の活動によって変化することがあるけれど,特に変動がない安定した状態の細胞の膜電位を「静止膜電位(resting membrane potential)」あるいは「静止電位(resting potential)」という。 静止膜電位はすべての生きている細胞に共通した性質で,すべての細胞活動はこの環境のもとで行われている。

●膜電位のしくみって難しい?

resting potentialところが「細胞生物学」の教科書を見ても,「膜電位のしくみ」についてはほんのわずかに触れる程度しかない。 一方「神経生理学」などの教科書を見れば詳しい記述はあるけど,説明が正しすぎて(笑)ついていけない。 結局,多くの人が疑問を持ちながら,よく分からないままに通り過ぎているのではなかろうか。 しかしあまり難しく考えることもない(かな?)。

●細胞膜をはさんでイオン成分はぜんぜん違う

細胞膜をはさんだ細胞内溶液と細胞外溶液のなかには大量のイオンが溶けている。 ただし両方の溶液の中身は均等ではない。 組織液とかリンパ液,血液などからなる細胞外溶液はナトリウムイオン(sodium ion,Na)と塩素イオン(chloride ion,Cl)が中心だっていうことは中学生くらいでもよく知られているけれど,細胞の中の陽イオン(プラス電気をもったイオン)は,ナトリウムイオンではなくて,カリウムイオン(potassium ion,K)が中心だ。 逆に細胞外には,K は Na の 30 分の 1 程度の濃度しかない。 つまり細胞膜をはさんで Na と,K の濃度は大幅に違って,まるっきり逆転している。 細胞膜がイオンを自由に通すなら二つのイオンは拡散(かくさん)によって均等に混ざり合ってしまうだろう。 しかし細胞膜を作っている脂質二重層膜は基本的性質としてイオンは一切通さない。 イオンを通さないから,この不均等なイオン分布でも拡散しないでそのまま残る。 ところが,本当に一切イオンを通さないとすると実は膜電位という現象も存在しないのだ(???)。 ?これだと膜電位の説明にはならないじゃないか?!
※イオンが縦に並んでいるのは数がわかりやすいようにしているためで,実際はイオンは自由に動き回っているはずだ。

●イオンが漏れなければ電位はない

resting potential
本来,水溶液はプラスとかマイナスとかの電気の片寄りにはとても厳しい。 溶けている種類はなんだってOKだけど,特別の事情がない限りイオンの合計のプラスとマイナスは同数でないと機嫌が悪い。 同数だとプラス・マイナス,ゼロになるけれど,もし同数でないとすると,それはその水溶液そのものがプラスかマイナスの静電気を持っていることになる。 特に理由が無ければ,ちょっとしたきっかけで水溶液の静電気はただちに解消される方向の力が働いて,静電気は残らない。 水溶液全体としては電気を持っていない状態が安定して正しい姿だ。

今,二種類の水溶液の間をイオンを通さない膜が隔てている。 アニメーションに示すように,それぞれの水溶液はプラス電気を持った陽イオンが6個だとすると,それに釣り合う陰イオンinanion02-24.gifも 6 個が溶けている。 合計で 12 個のイオンが溶けていて,イオン全体の濃度としては右の溶液も左の溶液も同じだ。 (イオン全体の濃度の多少の違いは電位の発生の仕組みには大きな影響はしないけれど,話を簡単にするために同じ濃度にしている。実際,ほとんど同じではある。) ただし陽イオンの種類が二つあって,ここでは赤いのが Naイオン sodiumion19.gif,青いのが Kイオン potassiumion20.gifだとしよう。 この状態,まったくイオンを通さない膜で二つの溶液が隔てられているとき,両方の溶液は,別々のガラスビンに入れられて並べて置かれたのと同じでお互いになんの作用もない。 陽イオンの成分は違っていても,それはまったく関係なくて,電圧計の端子を開放にしたのと同じで,二つの溶液の間の電圧は測れない。

●イオンが漏れるから電位が発生する

生きている細胞の細胞膜はただの脂質二重層膜とは違っている。 いろいろな違いはあるけど,電位の発生に関係した大きな違いは,”特定のイオン”だけを通す性質を持っていることだ。 それは脂質二重層膜に特定のイオンだけを通すイオンチャネル(ion channel)というタンパクが埋まっていることによる。 細胞膜はその基本アイテムとして Kイオンだけを通す 「Kイオンチャネル」というのを皆,備えているのだ。

細胞膜には無数の Kイオンチャネルが口を開けている。 結果,細胞膜は他のイオンは通さないけれど,Kイオン potassiumion20.gifだけは通す性質をもつことになる。 そうすると状況は一変する。 膜の内外で Kイオン濃度は大幅に違っている。 青の Kイオンが多い方が細胞内だ。 Kイオンは細胞外には少ないから,自然の流れとして細胞内の Kイオンが外側に拡散しようとするだろう。 実際,イオンチャネルを通って流れ出す(ほんのわずかだけど...)。 ところが Kイオンはただの粒子ではなくてプラスの電気を持っている。 本来,プラスとマイナスが釣り合っているはずの溶液からプラス電気をもった陽イオンだけが出ていくと,残った溶液ではマイナス電気が余ってしまう。 一方,細胞外溶液はプラス電気が超過する。 だから Kイオンが細胞の外に少なくて,細胞内に多いという濃度の偏りがあれば,そのせいで,細胞内はマイナスになってしまうのだ。

●分極と脱分極

ちなみにこのようにプラスとマイナスが分かれてしまうことを分極(ぶんきょく,polarization)という。 もし細胞膜が Kイオンと一緒に内側の陰イオンもpotassiumion20.gifinanion02-24.gif 逃がしてしまう性質だったら,電気の動きは”プラマイゼロ”だから,分極は起こらないのは言うまでもない。
何らかの原因で分極の度合いが小さくなることを「脱分極」(だつぶんきょく,depolarization)という。 反対に分極の度合いが大きくなることを「過分極」(かぶんきょく,hyperpolarization)という。

「膜電位が大きくなる」,あるいは「膜電位が高くなる」という表現に出会ったら注意しないといけない。 電位というのはポテンシャル(potential)だから,ポテンシャルが大きい,高いというのは分極の度合いが大きいと同じ意味だ。 だから「過分極」状態を表すはずだ。 一方,膜電位が低い,小さいという表現は分極の度合いが小さい,つまり「脱分極」の状態を表す。 だけどある程度の専門家の中でも,膜電位のグラフの上,下のイメージに引きずられて,「脱分極」するときに,電位が「高くなる」とか言ったりする人がときどきいるので混乱する。 話が?の時は,脱分極か過分極かを確認したほうがいい。 きっけんラボの中ではもちろん,「電位が小さくなる」というのは「脱分極」することを表している。

●拡散するイオンは同じ濃度にはならない

resting pontetial

細胞内電位をマイナスにする原動力は,細胞内に多量にある Kイオンの拡散力だ。 これは膜の内外の Kイオン濃度を均等にしようと働く。 だけど,濃度を同じにしようとすると今度は膜の内外で電気的バランスが崩れてしまう。 Kイオンが多く流れ出ようとすると余計に内側はマイナス,外側はプラスに電圧(電位差)が強くなってしまい,逆に電気的な力で Kイオンは押し戻されてしまうだろう。

というわけで,Kイオンは結局,濃度のバランスと電気的なバランスの折り合いをつけたところで自然に落ち着くことになる。 どこら辺で落ち着くかは,膜の内外での Kイオンの濃度の差,計算式(Nernst の式,あるいは Goldman-Hodgkin-Kats の式)の上では濃度比の対数に比例する。 ざっくりと言ってしまうと,濃度の違いが大きいほど電位差は大きく,濃度の違いが小さいと電位差も小さい。 濃度差がなければ電位差はゼロ,膜電位は消えてしまう。 静止膜電位は,Kイオンだけを通す膜と,その内外の Kイオンの濃度差があれば,自然に,物理的に発生する実は単純な仕組みなのだ。
※補足しておくと,ここで通り道を持たない Naイオン sodiumion19.gifにとっては,静止状態の細胞膜は,見通しがきかないただの壁で,向こう側との「濃度」の違いはいっこうに気にならない。

普通の細胞だったら細胞内には細胞外の30倍程度の Kイオンがあり,静止膜電位は -50 mVから -90 mVくらいの大きさになる。 最初に書いたように,これは細胞外電位をゼロとして測った細胞内電位の大きさだ。 小さい方の -50 mVとしても,これは1V ( = 1000 mV) の20分の1だから,活動電位のところでも書いたけど,これは極薄の細胞膜にとっては結構おおきな電圧レベルになる。

●分極は簡単に逆転する

細胞内外のイオン成分と濃度は健康な状態であれば,そう大きく変動することはない。 だけどイオンの通りやすさは細胞の活動状況によって大きく変わる。 イオンチャネルは開いたり閉じたりするフタを持っていて,Kイオンチャネルは静止状態で開いているチャネルだ。 細胞膜には他のイオンを通すチャネルもあるにはあるけど,閉じていて機能していない。 もしNaイオンだけを通す(Kイオンは通さない)チャネルがあって,それしか開いていない,ということがあると,K イオンで説明した分極状態は逆転して,Naイオンsodiumion19.gifが多い細胞外がマイナス(negative),細胞内がプラス(positive)になるだろう。 理屈は一緒だ。 Naイオンの拡散力が細胞内をプラスにする。

resting potential
今,説明のために細胞膜が Kイオンは通さずに Naイオンだけを通すことにしたけれど,実は分極がどっちに振れるかは,どちらかのイオンを完全に斜断する必要はない。 細胞膜がどちらのイオンをより多く通しやすいかによって決まる。 静止状態の Kイオンの通しやすさよりも何倍も Naイオンが通りやすくなったら,その瞬間に電位は逆転する。
神経細胞や筋肉細胞のような興奮性細胞(こうふんせいさいぼう)の活動電位(かつどうでんい,action potential)というのは静止状態で眠っていた Naイオンチャネルが一瞬だけ,Kイオンチャネルの20倍を超える数が一斉に開くことで発生するのだ。 開いた Naイオンチャネルが一斉に閉じれば,細胞膜は再び Kイオンだけを通す性質にもどって,同時に膜電位も静止状態に戻ってくる。 静止膜電位も活動電位ももとになる仕組みは同じだったのだ。

●膜電位を維持するためにはエネルギーがいる

静止膜電位は Kイオンだけを通す膜と,細胞膜内外の Kイオンの大きな濃度差が前提になっている。 まったく Kイオンだけしか通さない理想的な細胞膜だったら,一度,静止膜電位が安定すれば,イオンの出入りも安定するので,電位も濃度差もそのまま維持されるだろう。 ところが実際の細胞膜は他のイオンに対しても若干の漏れがある。 特に Naイオンはスキがあれば細胞内に流れ込もうとしている。 活動電位では積極的に Naイオンにも門を開く。 そうすると同じ陽イオンの Naイオンが入ってきた分だけ,Kイオンは外に流れ出やすくなる。 だからこのままだと時間が経てば細胞内外のイオンは混ざり合って,膜電位も小さくなってしまうだろう。

生きている細胞は,生きている限り細胞内の Naイオンを追い出して,細胞外から Kイオンを取り込んでこの濃度分布を維持し続けなければならない。 この仕事はイオンチャネルとは別の,やはり細胞膜にあるナトリウムカリウムイオンポンプ(sodium-potassium ion pump)と呼ばれる装置が行っている。 これはアデノシン3リン酸(ATP)のエネルギーを使って作動する能動輸送(のうどうゆそう,active transport)の代表格で,これがないと膜電位は長くは維持できない。 そのため,本によっては静止膜電位の「原因」としてナトリウムカリウムイオンポンプの存在を挙げていることもある(ホントは間接的に関わっているだけなんだけどね...⇒ 静止膜電位の成因を物理化学的に説明すると K イオンの膜透過性と濃度差で,生物学的に説明すると,ナトリウムイオンポンプのせい,ということになるとも言えばよいかな)。
細胞内外の K イオンと Naイオンの濃度分布は何も努力なしにできたわけではないのだ。

※簡単な話なのに,つい長くなってしまった(笑)。最後までお付き合いくださってありがとうございます。

・静電気について⇒雑科学ノート:- 静電気の話 -

○関連する記事

[021] 活動電位 action potential
[031] 興奮伝導 conduction of excitation
[024] 電位依存性ナトリウムチャネル voltage-dependent sodium channel
[040] 神経信号の伝達 neural signal transmission 041-heartmuscle80.gif
[036] リガンド依存性イオンチャネル ligand-gated ion channel
[053] アセチルコリン受容体 acetylcholine receptors (GB#114B03) AChreceptors80k3.gif
[013] 細胞膜の脂質二重層 lipid bilayer of the cell membrane
[006] 浸透圧(しんとうあつ)  osmotic pressure 
[019] アデノシン3リン酸(ATP) adenosine triphosphate
[004] 陽イオンと陰イオン(1)引力と反発力,cation and anion, attraction and repulsion 
[017] 糖質の吸収 absorption of carbohydratel

○参考文献

プロッパー細胞生物学,化学同人
Essential細胞生物学〈DVD付〉原書第3版,南江堂
細胞の分子生物学, ニュートンプレス; 第5版 (2010/01)
肉単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (筋肉編))
カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版,坂井 建雄,日本医事新報社
人体機能生理学,杉 晴夫,南江堂
トートラ人体解剖生理学 原書8版,丸善
イラスト解剖学,松村 讓兒,中外医学社
・柔道整復学校協会編「生理学」,南江堂
・東洋療法学校協会編「生理学」,医歯薬出版株式会社

rev.20140308, rev.20140705,
rev.20150503, rev.20160208, rev.20160711,rev.20170505, rev.20171222, rev.20180108.

◆こころ医療福祉専門学校
http://kokoro.ac.jp/

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コメント

    (ceoKIKKENより) [2014/08/15][9:06 PM]

    みんみんさん、有難うございます。
    ちょっと説明がくどくて、かえって分かりにくくなってしまったのではないかと心配しましたが、「なんとなく」でもわかった気持ちになっていただいてほっとしています。これからも何か疑問がわいたら、お教えください。<(_ _)>
    > 「細胞外、細胞内それぞれでプラス・マイナスがほとんどバランスが取れている状態」ということで、なんとなくわかったような気がします。ありがとうございました!

    (みんみんより) [2014/08/15][8:23 PM]

    「細胞外、細胞内それぞれでプラス・マイナスがほとんどバランスが取れている状態」ということで、なんとなくわかったような気がします。ありがとうございました!

    (ceoKIKKENより) [2014/08/14][3:51 PM]

    みんみんさん、さっそくのご質問、ありがとうございます。
    細胞外、細胞内それぞれの溶液の中で、陽イオンだけ、あるいは陰イオンだけを一方的に減らすことはできないということです。また溶液全体を考えたとき、陽イオンと陰イオンのバランスもきっちりとれているはずです。
    静止状態の膜を考えているとき、陰イオンはそのままで細胞外のNa+イオンだけを大幅に減らす、ということは実際的には大変難しいことです。そのNa+イオンをどこに移して減らすかということになりますが、細胞の中に吸い込むとしたら、それは静止状態ではなくて、興奮状態になります。それでもイオン濃度自体はほとんど変動はありませんが。
    そういうことを考えずに、とにかく細胞外のNa+イオンだけ大幅に取り除くことができたとすると、その時は細胞外の陽イオンの数が減るわけですから、プラス・マイナスのバランスが崩れて、マイナスに傾きますから細胞外からより多くのK+イオンが出てくることになるでしょうね。そのとき細胞膜電位がどのあたりでバランスが取れることになるのかは、私にはわかりません。
    Goldman-Hodgkin-Katzの式では静止状態でのNa+イオンの透過性も考慮してありますが、それでも細胞外Na+イオンの濃度が10分1になっても、静止膜電位への影響はわずかであることが導き出されます。これはもともと細胞外、細胞内それぞれでプラス・マイナスがほとんどバランスが取れている状態、これが自然の状態ですが、これが前提の話です。どうでしょうか。(^^;)
    > 「浸透圧が低下する」のですか??
    > K+が濃度を均等にしようと内から外へ移動するのに伴い、細胞内の「正電荷」が減少して、それによって生じた電位によってK+の流れを妨げる方向に力が働くということだったので、その生じる電位は(Na+が一切膜を透過できないとして)膜間を移動することのできる「正電荷」K+の濃度のみに依存するのか?でも外の「正電荷」Na+の量か変われば、なんとなく生じる電位に影響がありそうな気がするなぁ…ということが疑問だったのですが…。 「陰イオンとバランスが大幅に崩れるので、実際には合わせて塩素イオンなどの陰イオンも減らす」ということは、Na+の濃度が低くなったとしても外の電荷の量は変わらないということでしょうか??

    (みんみんより) [2014/08/14][1:56 PM]

    「浸透圧が低下する」のですか??
    K+が濃度を均等にしようと内から外へ移動するのに伴い、細胞内の「正電荷」が減少して、それによって生じた電位によってK+の流れを妨げる方向に力が働くということだったので、その生じる電位は(Na+が一切膜を透過できないとして)膜間を移動することのできる「正電荷」K+の濃度のみに依存するのか?でも外の「正電荷」Na+の量か変われば、なんとなく生じる電位に影響がありそうな気がするなぁ…ということが疑問だったのですが…。 「陰イオンとバランスが大幅に崩れるので、実際には合わせて塩素イオンなどの陰イオンも減らす」ということは、Na+の濃度が低くなったとしても外の電荷の量は変わらないということでしょうか??

    (ceoKIKKENより) [2014/08/14][10:00 AM]

    ”まじめな”質問は大歓迎です。(^^)/
    さて、溶液の中には陽イオンと陰イオンがバランスをとってプラスマイナスゼロの状態になるように存在しています。ご質問のように細胞外液のNa+イオンだけを減らそうとすると、陰イオンとバランスが大幅に崩れるので、実際には合わせて塩素イオンなどの陰イオンも減らす必要があります。結局、浸透圧(濃度)が低くなるので、その影響が静止膜電位に及ぶかという話になりますが、K+イオン以外の透過性が完全にゼロであれば、原理的には影響しないはずです。でも、大幅な浸透圧の違いが実際にどんな微妙な影響があるかどうかはよくわかりません。なので、イオン濃度を変える実験をする場合は、浸透圧が変わらないように、ほかのイオンやイオンでない溶質と入れ替えるというやり方をするのが普通です。
    では浸透圧を変えないように、細胞外液のNa+イオンとCl-イオンの量をたとえば10分の1に減らした場合は、どうなるかというと、実際には若干影響は出るようです。静止膜でもNa+イオンに対しては、K+イオンの20から30分の1くらいの透過性があると見積もられているからです。ネルンストの式を実際の細胞膜用にアレンジした、Goldman-Hodgkin-Katzの式にそれぞれの濃度を入れてみると、詳しい計算は省きますが、通常のNaCl濃度のときの静止膜電位が-70mVに対して、-73mVと若干過分極するようですね。通常の半分の濃度のときは-71mVと、静止膜電位はほとんど違いがありません。実際はまた若干ずれるでしょうけれど。もっとも、いうまでもありませんが、これほどの外液Na+イオンの減少は活動電位そのものを大きく損ないます。
    > とても丁寧な語説明どうもありがとうございます!今までよくわからないままきてしまっていたので、とても勉強になります。
    > ご質問したいのですが、仮に他の条件は同じで、Na+の濃度だけ140mMより大幅に低かったとしても、静止膜電位に変化はないのでしょうか?
    >
    > よろしくお願いいたします!

    (みんみんより) [2014/08/14][3:26 AM]

    とても丁寧な語説明どうもありがとうございます!今までよくわからないままきてしまっていたので、とても勉強になります。
    ご質問したいのですが、仮に他の条件は同じで、Na+の濃度だけ140mMより大幅に低かったとしても、静止膜電位に変化はないのでしょうか?
    よろしくお願いいたします!

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