[004] 陽イオンと陰イオン(1)引力と反発力 cation and anion, attraction and repulsion (GB#101D01) | 基礎医学教育研究会(KIKKEN)Lab
●イオンがなければ命もない
理学療法士や柔道整復師など手技を主体とする医療系資格試験では,イオン(ion)の働きが出てくるのは生理学くらいなものだろう。 それだけにこの系の学生にはあまり関心を持たれないようだけど,イオンは生理学全般はもとより内科や病理などの臨床医学のあちこちに見え隠れする重要な役者だ。
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Contents
●身体のなかの大事なイオンたち
基礎医学の中で働き方の大事なイオンは限られている。
ナトリウムイオン(Na+),カリウムイオン(K+),カルシウムイオン(Ca2+),水素イオン(H+),重炭酸イオン(HCO3-)の5つくらいで大体足りる。
塩素イオン(Cl-)やリン酸イオン(PO43-),リン酸水素イオン(H2PO4-)は存在としては無視できない。だけど,教科書的にはとくに独立してめだった働きはない。
●イオンは気づかれないうちに出入りしている
からだのしくみに興味があるひとでも,からだの中で電気が働いていると聞いても異様な感じがするだけかもしれない。 電気と言うと,そういえば…乾燥した季節にばちばちっと来るアレを思い出すだろうか。 あの静電気というのはショックはあるけど実は,からだの中で働いている電気とはあまり関係ないほうだ。 われわれのからだを動かしている電気は,そこにあることをまったく感じないし,食べ物や飲み物のように外から取り込んでいる感じはしないし,尿や汗のように外に出したりすることもないので,さっぱり意識に上らない。 だけどホントはわれわれのからだは気づかないうちにちゃんと電気を出し入れしている。 プラス電気とマイナス電気を一緒に出し入れしているから気づかないのだ。
●ミクロの世界では電気は偏っている
われわれが普通に「電気がある」と言っているのは正確に言うと「電気の片寄り」あるいは「片寄った電気の動き」のことだ。 からだを作っている物質,出入りする物質の中身は必ずプラス電気とマイナス電気がぎっしり詰まっている。 両方が同じ数だけあるとプラス・マイナス・ゼロということで,片寄りがないから表向き「電気」はない。 でも片寄りがないだけで中身のプラス・マイナスが消滅しているわけではないのだ。 からだの中では,物質によって,場所によって,電気の片寄りが生まれたり消えたりして,それが生命活動を動かす大事なカギになっている。 からだの中では電気の片寄りを持った小さな粒子が大活躍している。 それが「イオン,ion」だ。
●陽イオンと陰イオン
イオンは電気を帯びた微粒子だ。原子でも分子でもいい。重炭酸イオンは分子がイオン化したものだ。 プラス電気(+)に帯電したものを陽イオン(よういおん, cation),マイナス電気(-)に帯電したものを陰イオン(いんいおん, anion)と呼ぶ。 「マイナスイオン」というのは健康器具などの業界独自の用語で,現実に存在している「陰イオン」とは別物ですよ,という意味が暗に込められているので混同しないように注意が必要だ。
原子の場合,陽イオンになるのか,陰イオンになるのかはそれぞれ決まっている。 少なくとも生理学の教科書レベルではナトリウム原子(Na)など金属原子がイオンになるときは必ず陽イオンで,塩素原子(Cl)がイオンになるときは必ず陰イオン(Cl-)になる。 カルシウム原子がイオンになるときは必ずプラス電気が2個ついた陽イオンになる(これは2価の陽イオンというね)。
●陽イオンと陰イオンは引き合う
陽イオンと 陰イオンは引きあい,同じ極性のイオンどうしは反発するという性質は,イオンの働きの基本だ。 たとえば分子の形を決めたり,分子とイオン,分子と分子どうしがくっついたり離れたりするときに,ほかにいくつかある因子と一緒になって働いている。 しかしその性質をつかって実際の生理学のしくみを細かく説明することは,初級の生理学解剖学では,あまりない。 大雑把に,身体の中で物ができたり壊れたり,細胞が反応するときにはたらく大事な性質だということを覚えていれば大丈夫だ。
イオンが働く生理学の重要な場面はまた別の機会に紹介する。
イオンが持っている電気は静電気とは別物なので,陽イオンと陰イオンが引き合ってくっついても,持っている電気だけが流れてどこかに消えたりはしない。
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◯参考にしたサイト
⇒イオンについてもっと知りたい
⇒イオンについてもっと知りたい
⇒ナトリウムについてもっと知りたい
⇒カリウムについてもっと知りたい
⇒重炭酸イオンについてもっと知りたい
○関連する記事
◆[013] 細胞膜の脂質二重層 lipid bilayer of the cell membrane
◆[011] 体内の酸性・アルカリ性と炭酸ガス body acid-base reaction and carbon dioxide gas
◆[021] 活動電位 action potential
◆[024] 電位依存性ナトリウムチャネル voltage-dependent sodium channel
◆[036] リガンド依存性イオンチャネル ligand-gated ion channel
◆[028] 静止膜電位 resting membrane potential
◆[031] 興奮伝導 conduction of excitation
○参考文献
・細胞の分子生物学, ニュートンプレス; 第5版 (2010/01)
・カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版,坂井 建雄,日本医事新報社
・人体機能生理学,杉 晴夫,南江堂
・トートラ人体解剖生理学 原書8版,丸善
・イラスト解剖学,松村 讓兒,中外医学社
・柔道整復学校協会編「生理学」,南江堂
・東洋療法学校協会編「生理学」,医歯薬出版株式会社
rev.20160403,rev.20170205.
◆基礎医学教育研究会(KIKKEN)
コメント
熊坂です。
アドバイスありがとうございます。
金箔リンパ整体をしていると不思議な結果がおこります。
乳癌のシコリがフワフワになったりして…論文を探すと金は、癌に良い記載を見つけました。科学だと思っていました。アドバイス頂きありがとうございます。とても勇気が出ます。これからも精進して困っている方の為に頑張って参ります。コレからも勉強させて頂きます♪ありがとうございます。^_^
熊坂様、”わかりやすく感激しています”とのコメント、大変ありがとうございます。
また、”金箔リンパ整体をしていくと少しずつ体の中の体流が戻り本来の流れに戻る感じ”というご体験も
すばらしいものだと思います。
ただ、その効果の原理については、通常の科学を超えた奇跡のように思えます。
残念ながらこのサイトの知識で説明できるようなものでは到底ありません。
少なくとも、私には説明をすることはできません。
お力になれず大変申し訳ありませんが、無理に科学的な説明をしようとせず、
この素晴らしい体験をあるがままに受け入れていかれれば良いのではないかと
思います。
初めまして、こちらのサイト観させて頂きとてもわかりやすく感激してます。
金箔リンパ整体をしております。
純金のエネルギーを使って体の微弱な電気を吸収したり移動して体内のイオンが動きと手技で身体を整え、あり得ないミラクルが起きます。
過去の怪我で細胞が崩れ 潰れ 曲がっていたりしても
金箔リンパ整体をしていくと少しずつ体の中の体流が戻り本来の流れに戻る感じです。途切れや浮腫みも穏やかに整う感じです。何とも言葉では、説明しづらく生命力も関係して人それぞれの結果がでます。
今迄、言葉や文書で表現出来ずこの原理を説明を出来ず困っていました。科学に詳しくもなく…この原理は、
間違ってないでしょうか?
お力を貸して頂けないでしょうか?
アドバイスよろしくお願い致します。