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[030] エンドサイトーシスと細胞内消化 endocytosis and intracellular digestion (GB#101G02)

[030] エンドサイトーシスと細胞内消化 endocytosis and intracellular digestion (GB#101G02)

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●かさばるブツは包んで飲み込む

細胞は生きている間に、細胞膜を通じていろんなモノを出し入れする必要がある。 脂溶性ホルモンはそのまま二重層膜をすり抜けるし、イオンブドウ糖、アミノ酸などは専用の装置を使って膜を通しているけれど、それより大ぶりなモノは、細胞膜で包んで取り込んだり、外に放りだしたりしている。 細胞膜で包んで取り込むやり方をエンドサイトーシス(endocytosis)と呼ぶ。 エンドサイトーシスは生きている細胞ならではのダイナミックな活動だ。

●いろいろなエンドサイトーシスがある

細胞のまわりの組織液に溶け込んだタンパク質などの水溶性の物質を組織液ごと包んで飲み込むエンドサイトーシスは飲作用(pinocytosis)、組織の中にいつの間にか入りこんだ細菌やウイルス、その断片などの固形の外来物を包んで取り込むエンドサイトーシスは食作用(phagocytosis)と呼ばれている。 典型的な食作用は主にマクロファージとか好中球とか生体防御の仕事をする細胞に限られているけれど、エンドサイトーシス自体はいろいろな細胞がその用途に応じて使っている。 そして取り込んだモノは大抵は細胞の中でバラバラにされる運命にある。

●受容体がモノを見分ける

取り込んだ後の処理方法はいろいろあるけれど、エンドサイトーシスの基本的な仕組みはほぼ共通している。 まず細胞膜の上にエンドサイトーシスを起こすための受容体(receptor)endocytosis recptor が存在する。 なんでもかんでも手当たり次第に取り込むわけにはいかないからだ。 細胞膜の上には普通、いろんな受容体があるけれど、このエンドサイトーシスの受容体は細胞内に取り込むべき物を見分ける力がある受容体だ。 受容体にはきちんと目的にあったブツだけが material (多くはタンパクを主成分とするもののようだ)結合するようになっている。 この受容体は全体が細胞膜を貫通していて、取り込むブツがこの受容体に結合すると、即座に信号が細胞膜の内側に伝わるしくみだ。 そうすると細胞膜の内側で特殊な変化が起きる。 

●細胞膜は伸びたり縮んだりしない

飲作用と呼ばれる比較的小さなブツの取り込みでは、受容体にブツが結合するとその部分の細胞膜が陥没(かんぼつ)はじめる。 一見、細胞膜が伸びて袋を作っているように見える。 しかし実は細胞膜はゴム風船と違って、引っ張って伸びるようなものじゃない。 リン脂質が横に並んで薄いシートを作っている。 リン脂質の間隔は簡単に広がったり縮まったりできるようなものじゃない。 だから無理に引っ張って伸ばそうとすると簡単に破れてしまうはずだ。 袋を作るには、シーツでモノを包むように周りから少しずつ膜を寄せてしわを作るようにくぼみを作る。 ただし細胞膜の成分は横にはかなり流動性があるので、袋の口に当たるところは、シーツと違って、しわにならずに滑らかに丸くしぼまってくるのだ。

●細胞膜は自分自身で袋は作らない

細胞膜自体は脂質二重層の一枚シートでしかないので、それ自身が勝手にモノを包み込むという仕事はできない。 それで受容体とそのためのしくみが必要になる。 受容体にブツが結合すると、細胞内の変化が起きるのはもう書いた。 受容体が反応するとその部分の細胞膜の内側に、細胞膜を裏打ちする構造 matrix が出来てくる。 大きく細胞膜が飛び出て包む食作用だったらアクチンフィラメントが成長して広がってくるらしい。 だけど、細胞膜が落ち込む飲作用では主にクラスリン(clathrin)という特別なタンパクが集まってくる。 クラスリンは細胞膜の内側で規則的に集まって、きれいなカゴ構造(被覆、ひふく)を作る。 そのカゴが細胞膜を包み込みながら、全体を内側に引き込んで細胞膜の袋を作る。 

endocytosis
細胞の内側にボールのような袋が出来たら、最後は細胞表面にできた細い口をキュッと絞って、細胞膜から袋を切り離す。 これでブツを包んだ小胞(被覆小胞、coated vesicle)の出来上がりだ。 最後のキュッと絞るところは、ダイナミン(dynamin)という名前の別のタンパクの仕事だ(アニメでは省略)。 また、小胞が出来てしまうと、カゴ構造は用無しになって、解かれて消えてしまう。

●小胞は細胞の中でまた袋とくっつく

できたばかりの小胞は細胞の外の液体をいっしょに包んでいるので、その中は細胞外の環境と一緒だ。 しかし取り込んだブツを処理するには特別の環境が必要になる。 その環境を変えるために、たいていはあらかじめ細胞内に用意した別の小胞に融合、合体させる。 この小胞を、合体する前も後もあわせて、エンドソーム(endosome)と呼ぶ。 エンドソームの中は細胞外よりも酸性が強い環境(pH 6~7)になっている。 環境が変わるとブツは自然に受容体から離れる。 受容体は多くの場合、新たな小胞に包み込まれて再び細胞膜に組み込まれリサイクルされる一方、エンドソームはさらに酸性が強くなって後期エンドソームとよばれる状態になる。 こっちが後期なので、その前の段階は初期エンドソームだ。 

後期エンドソームにさらに、種々の消化酵素を満載した特別な小胞 vacuole (一次リソソーム、primary lysosome とも呼ばれる)が合体する。 そうすると、エンドソームの中のブツは強力な消化酵素(主に加水分解酵素)によって粉々に分解されてしまう。 単にリソソームというと、消化酵素と分解産物を一緒に包んだ小胞のことを言うらしい。 リソソームの中は酸性がさらに強くなっていて pH 5 くらいという。 分解された産物は必要に応じて細胞内で再利用されたり、不要な場合は細胞外へ捨てられたりする。 ようやくこれで細胞外からエンドサイトーシスで取り込まれたブツの運命は終わりだ。

●細胞膜は補充する必要がある

エンドサイトーシスのたびに細胞膜は小胞としてくびりとられるので、細胞膜の面積はその分、小さくなるし、細胞外溶液を飲み込むことになるので、細胞内のボリュームは大きくなる。 だからエンドサイトーシス一辺倒だと、細胞膜の面積はどんどん小さく、細胞内容積はどんどん大きくなって(?!)、じきに細胞は破裂する。 だからエンドサイトーシスの一方で、細胞膜の補充と細胞液の排出が行われないといけない。 実際、細胞内から生まれた小胞が細胞膜に融合することで細胞膜は補充されている。 

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エンドサイトーシスの反対のこの活動はエクソサイトーシス(exocytosis)と呼ばれる。 エクソサイトーシスそのものは細胞膜の補充の他に、細胞での生成物を分泌したり、チャネルや受容体を細胞膜に供給したりという目的がある現象だけど、細胞を健全に保つうえで、エンドサイトーシスとエクソサイトーシスはバランスよく実行されているのだ。
クラスリン(Clathrin)について

・これは面白い!!⇒解剖生理学 1話「細胞の仕組み」(たませんせいの授業)

○関連する記事:

[013] 細胞膜の脂質二重層 lipid bilayer of the cell membrane
[017] 糖質の吸収 absorption of carbohydratel
[027] ペプチド結合 peptide bond
[007] ブドウ糖と、ショ糖の加水分解 glucose and the hydrolysis of sucrose 
[019] アデノシン三リン酸(ATP) adenosine triphosphate

○参考文献

なっとく解剖生理学〈1〉やりとりする細胞と血液 文光堂 (2013/11)
プロッパー細胞生物学―細胞の基本原理を学ぶ、化学同人
Essential細胞生物学〈DVD付〉原書第3版、南江堂
細胞の分子生物学、 ニュートンプレス; 第5版 (2010/01)
肉単―ギリシャ語・ラテン語 (語源から覚える解剖学英単語集 (筋肉編))
カラー図解 人体の正常構造と機能 全10巻縮刷版、坂井 建雄、日本医事新報社
人体機能生理学、杉 晴夫、南江堂
トートラ人体解剖生理学 原書8版、丸善
イラスト解剖学、松村 讓兒、中外医学社
・柔道整復学校協会編「生理学」、南江堂
・東洋療法学校協会編「生理学」、医歯薬出版株式会社

rev. 20160205,rev.20170505, rev.20180401.


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